日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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プロゲステロンがイネの成長に与える影響
*飯野 真由美野村 嵩人森 昌樹菊池 尚志米山 弘一横田 孝雄
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p. 736

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抄録
プロゲステロン(黄体ホルモン)は妊娠維持や受精卵の着床などの生理作用を示す動物ステロイドホルモンである。我々はすでにプロゲステロンをアラビドプシス、イネなどの様々な植物から同定し、プロゲステロンが植物における普遍的な成分であることを明らかにした。
またイネとアラビドプシスの遺伝子データベースには、ヒトプロゲステロン受容体遺伝子に類似する遺伝子がそれぞれ3つずつ存在しているが、我々は、これらの遺伝子を単離し、アラビドプシス由来の遺伝子をAtPB1、AtPB2、AtPB3、イネ由来の遺伝子をOsPB1、OsPB2、OsPB3とそれぞれ名づけた。また、これらのPB遺伝子は、アラビドプシスおよびイネの様々な器官において、普遍的に発現していることが明らかになった。このことから、プロゲステロンおよびAtPBならびにOsPB遺伝子は、植物において何らかの生理的働きをしていることが示唆される。そこで、プロゲステロンのイネに対する生理作用を調べるために、イネを様々な濃度のプロゲステロンを添加した水耕液によって育成したところ、100μMにおける生育阻害などいくつかの生育変化が見られた。
さらに植物の生殖生長にどのような影響を与えているのかを解明するために、イネの穂の様々な成長段階での内生プロゲステロン量の定量およびOsPB遺伝子の発現解析を行っているところであり、これらの結果についても報告する予定である。
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© 2004 日本植物生理学会
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