日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ切断花茎における組織癒合過程のマイクロアレイ解析
*朝比奈 雅志佐藤 忍山内 雪香小川 幹弘神谷 勇治山口 信次郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 743

詳細
抄録
キュウリ、トマトの胚軸を用いた以前の我々の研究から、傷をつけた胚軸の皮層は切断後7日間で癒合すること、この癒合過程の細胞分裂にジベレリンが必要であることが示された。本研究では、組織癒合に関わる遺伝子発現調節機構の解明を目的として、シロイヌナズナ切断花茎を用いた組織化学的解析とマイクロアレイ解析を行った。
 切断花茎の癒合過程について形態学的、組織化学的解析を行った結果、キュウリ、トマトの胚軸と同様に、切断後3日目から細胞分裂が開始し、7日目で癒合している様子が確認された。
 シロイヌナズナ花茎の組織癒合過程において、切断部位における遺伝子発現の変化を網羅的に解析するため、マイクロアレイ法を用いた解析を行った。シロイヌナズナ花茎の第一節間または第二節間をマイクロナイフを用いてキュウリ胚軸と同様の切断処理を行い、一定時間後に切断部の上下約2cmの花茎を切り出し解析に用いた。細胞分裂、細胞壁合成に関わる遺伝子に注目して解析を行ったところ、細胞分裂に関与する遺伝子は、切断後3日目の花茎で発現の上昇が認められたが、5日目の花茎ではほとんど認められなかった。細胞壁に関わる遺伝子は、いずれの切断花茎でも上昇が認められたが、細胞伸長に関わる遺伝子の上昇は、主に3日目の花茎で認められた。また、発現上昇が見られた細胞分裂・伸長に関わる遺伝子には、いくつかのジベレリン誘導遺伝子が含まれていることが示された。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top