日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ芽生えにおけるα-およびβ-チューブリン遺伝子発現の重力による制御
*齋藤 有香曽我 康一若林 和幸保尊 隆享
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p. 753

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抄録
植物を過重力環境で生育させると、茎の伸長成長が阻害される。このような成長の変化をもたらす機構を明らかにするため、過重力環境下で特異的に誘導されるシロイヌナズナ遺伝子をRT-PCRディファレンシャルディスプレイ法で探索・同定したところ、微小管の構成要素であるα-チューブリンをコードする遺伝子が含まれていた。そこで本研究では、α-チューブリンおよび微小管のもう一つの構成要素であるβ-チューブリン遺伝子発現量のパターンを詳細に解析した。α-およびβ-チューブリン遺伝子の発現量は、重力の大きさに応じて増加した。また、これらの遺伝子の発現量の増加は、過重力環境下に移して数時間以内にみられた。次に、α-チューブリンの6つの遺伝子ファミリー(TUA1TUA6)それぞれについて、過重力に対する応答性を調べたところ、程度の差はあるものの、6遺伝子すべてがほぼ同様の発現パターンの変化を示した。以上の結果から、シロイヌナズナ芽ばえでは、α-およびβ-チューブリン遺伝子の発現量が生育環境の重力の大きさに応じて、すみやかに調節されていることが示された。重力によるシロイヌナズナ胚軸の成長調節には、α-およびβ-チューブリン遺伝子の発現レベルの変化による微小管量の制御が関与しているものと考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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