抄録
本研究室ではアラスカエンドウとアカパンカビにおいて、それぞれ赤色光、青色光照射後に NDKのリン酸化が上昇することをみいだした。本研究ではアラスカエンドウNDK-P1に対応するシロイヌナズナNDK1 (AtNDK1) をもちいて生化学的解析を行った。AtNDK1の機能を知る手掛かりを得るために、AtNDK1をbaitとした酵母 Two-hybrid 法のスクリーニングを行った結果カタラーゼ遺伝子群の一つAtCAT3 が候補として得られた。シロイヌナズナのカタラーゼ遺伝子群は3遺伝子より構成されており、AtCAT1,2 と AtNDK1 の相互作用も Two-hybrid 法により検出された。2次元 native-PAGE においても共分離が確認され、カタラーゼと NDK が生体内で複合体を作ることが示唆された。またAtNDK1 を異所的に発現させた AtNDK1-EX は野生型より有意に高いパラコート耐性を示した。
In vivo でのAtNDK1のリン酸化様式が AtNDK1-EX や野生型と異なる 6XHis-AtNDK1P93S を異所的に発現させた形質転換体のパラコート処理後の粗抽出液ではカタラーゼ のnative-PAGE 上での移動度が大きくなっていた。カタラーゼは酸化レベルにより native-PAGE での移動度が変化することが知られており。P93S 変異蛋白の異所的発現がカタラーゼの酸化レベルに影響を与える可能性が示唆された。