日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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コケ植物の葉緑体型CuZn-SOD遺伝子は藻類型のエキソン-イントロン構造を持つ
*岡安 操上野 晋平徳山 裕子中村 魅加子金松 澄雄
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p. 807

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抄録
植物のCuZn-SODは陸上植物と一部の藻類に分布し、葉緑体型および細胞質型のアイソフォームが存在する。我々は昨年度の本学会で緑藻Spirogyraの葉緑体型CuZn-SOD遺伝子は高等植物に比べイントロンを葉緑体移行シグナル領域に一つ余分に持ち、この位置が細胞質型遺伝子のイントロンと同じであることから、葉緑体型遺伝子から細胞質型遺伝子が生じた可能性を報告した。今回はCuZn-SODアイソフォームの分子系統進化関係を明らかにする目的でコケ植物Pogonatum inflexumよりCuZn-SOD遺伝子を単離しその構造を調べた。Pogonatumの葉緑体型 (sod-2) および細胞質型CuZn-SOD (sod-3)をコードするcDNAの塩基配列を基に、PCRによりそれぞれの遺伝子の中央部分を増幅した。さらにこれらの両端部位の配列より遺伝子特異的プライマーを作成し、GenomeWalker Kitを用いたPCRでそれぞれの遺伝子の5'上流および3'下流のDNA断片を得、最終的に7 .1 kbp (sod-2) および5.6 kbp (sod-3) の塩基配列を決定した。sod-2 は9個のエキソン、8個のイントロンがあり、藻類のものと同数であった。藻類で特徴的な第1イントロンはPogonatumでは5'-UTR領域にあり、Spirogyra遺伝子の場合の葉緑体移行シグナル領域よりやや上流に存在していた。一方sod-3 は高等植物のものと類似していた。これらの結果は、葉緑体型CuZn-SOD遺伝子からの細胞質型CuZn-SOD遺伝子の分岐はコケ植物の出現以前であることを示している。
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© 2004 日本植物生理学会
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