抄録
乾燥、高塩下におかれた植物の萎れ、枯死などの障害に活性酸素が関わっている可能性が高い。活性酸素消去において中心的役割を担っているスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)を葉緑体で高発現させた2種の形質転換タバコを作出し、乾燥、高塩等のストレス耐性について調べた。
アラビドプシスのAPXcDNAの上流にアラビドプシスグルタチオン還元酵素の葉緑体トランジットペプチド遺伝子を付けることにより、APX葉緑体高発現型形質転換タバコを作出した。イネCu-Zn-SODcDNAを用いて同様な方法でSODを葉緑体で高発現させた形質転換タバコを作出した。これら両形質転換タバコへの活性酸素生成試薬パラコートと亜硫酸の影響を調べた。また両形質転換タバコを、水欠乏、0.3 M NaCl 、10% polyethylene glycol処理した時の光合成活性を調べた。
APX葉緑体高発現型形質転換タバコは対照タバコよりも3.8倍のAPX活性を示すとともに、2倍のSOD活性を示した。SOD葉緑体高発現型形質転換タバコは対照タバコよりも4.6倍のSOD活性、2.5倍のAPX活性を示した。両形質転換タバコの亜硫酸、パラコート、水欠乏、高塩、polyethylene glycol耐性について検討した結果、これら全ての光酸化ストレスに対して明らかな耐性の上昇が認められた