日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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環境ストレスと栄養シグナルの両方によって影響をうける植物免疫:エチレンとグルコースの拮抗的相互作用の分子メカニズム
*柳澤 修一Sang-Dong YooJen Sheen
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p. S008

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抄録
 エチレンは植物ホルモンとして種子の発芽から器官のセネッセンスまでのさまざまな生理的なプロセスと生長プロセスに関与する。また、エチレンはストレス応答や病原菌によって誘導される防御遺伝子の発現において重要な役割を担うことも知られている。一方でグルコースも植物の生長に大きな影響を及ぼすことが知られており、遺伝学的解析はエチレンとグルコースの間の拮抗的相互作用を示唆していた。最近、我々はエチレンシグナル伝達系とグルコースシグナル伝達系のクロストークのメカニズムを明らかにした (1)。転写因子EIN3はエチレンシグナル伝達系で中心的役割を担うことが知られているが、エチレンは転写因子EIN3を安定化し、一方でグルコースはEIN3の分解を促進することがわかった。この知見に基づき、植物の生長を決定する環境ストレスと栄養代謝の相互作用について議論したい。
1. Yanagisawa, S., Yoo, S.-D., Sheen, J. (2003) Nature, 425, 521-525.
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© 2004 日本植物生理学会
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