日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

電子線トモグラフィーを使ったタマネギ子葉細胞表層での細胞骨格の挙動解析
*峰雪 芳宣
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S038

詳細
抄録
高等植物の微小管は、間期には細胞表層に並び細胞の伸長方向を、G2から前期には、分裂準備帯(preprophase band)として、細胞分裂面の挿入位置を決定する。そのため、細胞表層での微小管の配向機構を解析することは、植物の形態形成の研究に重要である。蛍光プローブを使った分子追跡の技術の進歩により、微小管の動的性質がいくつか分かって来たが、光学顕微鏡による観察には限界があり、微細構造レベルでの情報が不足していた。そこで、我々は高圧下で組織の凍結が可能な加圧凍結法と、高分解能での3次元的解析の可能な2軸電子線トモグラフィー法を組み合わせることにより、瞬時に凍結したタマネギ表皮細胞における細胞骨格の立体的な配置を定量的に解析することを可能にした。加圧凍結後の凍結置換の方法の工夫により、マイクロフィラメントを安定的に保存することに成功し、分裂準備帯形成と消失に伴うアクチン繊維の挙動を微細構造レベルで追跡することができた。また、微小管が重合、脱重合する時にとると考えられている独特の微小管端の構造を定量的に観察することができるようになった。また、γチューブリンの複合体が微小管形成の核となっているところを捉えたと思えるキャップ構造も見つかった。これらの頻度を調べることで、どの程度微小管のダイナミックスが想像できるか議論する。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top