日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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電子線トモグラフィーを使ったタマネギ分裂準備帯に存在する膜系の解析
*唐原 一郎
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p. S039

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抄録
分裂準備帯(PPB)は植物細胞の分裂直前に出現する微小管の帯である。PPBは前中期に消失するが、PPBの存在していた位置に細胞板が挿入されるため、細胞板の挿入に必要な因子がPPBの位置に蓄積されると考えられている。PPBにおいては古くから輸送小胞が観察されている。PPBの発達や位置情報が蓄積される仕組みの解明には、これらの小胞を解析する必要がある。我々はまず加圧凍結した試料を用いて超薄切片法によりPPBの微細構造を観察したところ、観察された小胞の多くは電子密度の高い内容物を持っており、またPPBの位置においては小胞の分布密度が他の位置と比べ有意に高いことがわかった。特異的な分子マーカーがない現状では、小胞の機能を知るためには、小胞の形態を解析し形態学的特徴をマーカーとして用いながら分布を詳細に解析することが有力な手法となる。そこで加圧凍結および超高圧電顕を用いた電子線トモグラフィーにより、PPBに存在する小胞を詳細に調べた。その結果、PPBに存在する小胞には大きくわけて、クラスリン被覆小胞および明確な被覆を持たない小胞の2種があることがわかり、後者は前者と比べて直径が大きくまた細胞膜から遠い位置まで分布することなどがわかった。また後者がmultivesicular bodyと融合していると考えられる像も観察された。これらの結果からそれぞれの小胞の役割について議論する。
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© 2004 日本植物生理学会
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