日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単子葉植物における根系の機能と冠根形成の分子機構
*犬飼 義明芦苅 基行北野 英己松岡 信
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p. S068

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抄録
 根は養水分の吸収や植物体の支持といった機能を持つが,その効率は個々の根の生理特性だけでなく,根系を構成する異なる種類の根の数,長さ,太さやそれらの土壌空間中における配置によって規定される根系構造の違いにより決定される.一般に,多くの双子葉植物では主根とそこから発生した側根が根系を構成するのに対して,イネ,コムギ,トウモロコシといった3大穀類が属するイネ科植物の根系は,その個体発生において順次発生してくる多くの冠根(不定根)によって特徴付けられ,例えば圃場で栽培されるイネの根系は,時には千本以上もの冠根を発生することが知られている.しかしながら,このようなイネ科植物の特徴である冠根形成の分子機構に関してはほとんど解析されていない.そこで我々は,イネを材料に冠根の発生数が著しく減少するcrl1 (crown rootless1) 突然変異体を同定し,その原因遺伝子をポジショナルクローニング法により単離した.その結果,本遺伝子は,シロイヌナズナにおいて葉や側根といった側生器官の基部領域で発現することが知られているLATERAL ORGAN BOUNDARIES(LOB)-domainを持つ遺伝子ファミリーに属するタンパク質をコードしており,根特異的に発現するLOB DONAIN16やLOB DONAIN29に高い相同性を有していた.本発表では,イネ科植物における根系の機能について概観するとともに,CRL1遺伝子の発現様式を解析した結果について報告する.
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© 2004 日本植物生理学会
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