日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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花芽分化誘導の制御機構解明
渡邊 秀明鈴木 光宏*米田 好文
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p. S077

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抄録
花芽分化誘導に関与する過程は、光周期依存、春化依存、シベレリン依存、および、自律的の各促進経路と、これら4 つの促進経路からのシグナルを統御する過程が存在すると考えられている。阿部ら(2002)が単離、解析した PDF2遺伝子は、ホメオボックス遺伝子の中でもHD-GL2クラスに属する遺伝子で、ホメオ・STARTドメイン、Zipモチーフを持ち、FWA、ATML1、ANL2と同じクラスの遺伝子群に属している。また、PDF2遺伝子は茎頂分裂組織や器官原基の最外層(L1層)特異的に発現するという特徴をもつ。このPDF2遺伝子のcDNAをカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーターの下流につなぎシロイヌナズナの野生型に導入し過剰発現させると、その形質転換植物は花芽分化誘導が遅れることが報告された。この知見は、前述した花芽分化誘導の統御過程で重要な役割を担っているFWA遺伝子の異所的な過剰発現による花芽形成遅延の表現型と一致することから、過剰発現したPDF2遺伝子が統御過程の遺伝子と相互関係し、花芽形成誘導を遅延させていると考えた。
そこで我々は、PDF2過剰発現体を用いて花芽分化誘導時における遺伝的統御過程の解析を進めた。PDF2過剰発現体における花芽分化誘導関連遺伝子の発現解析の結果、過剰発現したPDF2遺伝子は花芽分化誘導の統御過程において負の制御に関係していることがわかった。本発表では、これまでの知見を含め、現在までの進行状況を報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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