日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるペルオキシソームの分裂制御
*真野 昌二中森 ちひろ近藤 真紀西村 幹夫
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p. S082

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抄録
高等植物のペルオキシソームは、脂肪酸代謝、光呼吸など植物の一生を通じて重要な機能を担っているが、その形成・分裂機構についてはほとんど明らかにされていない。我々は緑色蛍光タンパク質 (GFP)を指標に、シロイヌナズナにおいてペルオキシソームの形態が異常になった apm (aberrant peroxisome morphology) 突然変異体を選抜し、解析を進めている。得られたapm 変異体のうちapm1変異体は、ペルオキシソームの形が長くなり、細胞内の数が減少することから、ペルオキシソームの分裂が抑制された変異体と考えられる。マッピングにより、APM1 遺伝子は、ダイナミンファミリーの1つである ADL2A (Arabidopsis dynamin-like protein 2A) をコードしていた。興味深いことに、apm1変異体では、ペルオキシソームと同様、ミトコンドリアの分裂も抑制されており、ADL2A タンパク質はペルオキシソームとミトコンドリアの両オルガネラに局在することが明らかとなった。これらの結果は、APM1/ADL2A タンパク質はペルオキシソームとミトコンドリアという2種類のオルガネラの分裂に関与していることを示している。apm1 植物体では生長抑制が観察され、これはペルオキシソームとミトコンドリアの両オルガネラの協調する代謝系の活性が低下していることを示唆している。
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© 2004 日本植物生理学会
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