日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高等植物ミトコンドリアの融合
*有村 慎一堤 伸浩
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p. S083

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抄録
動物や酵母では、ミトコンドリアは分裂だけでなく融合も行い、このバランスによって形態を維持していることが知られている。しかしながら、これまで高等植物ではミトコンドリアの融合現象ははっきりと確認されていなかった。また、動物酵母で見つかったミトコンドリア融合関連遺伝子(Fzo1, Ugo1など)のホモログも、高等植物においては未だ見出されていない。そこで我々は今回、蛍光たんぱく質カエデを用いて、高等植物においてもミトコンドリア融合の現象を確認したのでこれを報告する。カエデは発現当初は緑色の蛍光をもつタンパク質であるが、350-400nmの光を短時間照射されることで、赤色の蛍光を持つタンパク質に不可逆的に変化するという特徴をもっている。ミトコンドリアプレシークエンスをもつカエデの植物用発現ベクターを製作し、これをタマネギ表皮細胞に一過的に導入した。これに通常の蛍光顕微鏡を用いて、細胞の一部分のみをUV光照射を行うことで、ひとつの細胞内に緑と赤に色分けされたミトコンドリアを共存させることに成功した。そして、この細胞内で緑と赤のミトコンドリアが融合し、黄色のミトコンドリアが出現する様子を確認することができた。高等植物においてもミトコンドリアが頻繁に融合が行われていること、またその融合とともに分裂が行われ、その形態が維持されているらしいことが確認できた。
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© 2004 日本植物生理学会
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