抄録
葉緑体NDH複合体は、光化学系I循環的電子伝達に機能し、11のサブユニットが葉緑体ゲノムにコードされる。我々はクロロフィル蛍光イメージングの技術を用い、NDH活性を欠くシロイヌナズナ変異株をCCDカメラ下で選抜する系を確立した。得られた変異株は、葉緑体ndh遺伝子の発現調節に異常を持つと予想されるものと、ラン藻にホモログが存在する機能未知の遺伝子に変異を持ち、複合体の核コードサブユニットに異常を持つ可能性が考えられるものに分けられる。crr2、crr4はNDH複合体の蓄積に特異的に異常を示す劣勢の変異株である。原因遺伝子はいずれもPCMP/PPRファミリーのメンバーであった。PPRファミリーのいくつかのメンバーは、オルガネラRNAの成熟化に機能するが、CRR2は、rps7とndhBの間のRNA切断に関わることが明らかになった。一方、CRR4はndhDの開始コドンを作るRNA editingに関わることが明らかになった。両者は構造的な類似性を示すものの、異なるRNA成熟化のステップに機能し、PCMP/PPRファミリーのメンバーがRNA成熟化のターゲット認識に機能する可能性が示唆された。