日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ENDOR法による光化学系I反応中心クロロフィルP700とP740+の電子状態の解析
*三野 広幸河盛 阿佐子青山 大輔鞆 達也岩城 雅代伊藤 繁
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p. 002

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抄録

現在2.5A分解能で構造解析されている光化学系I反応中心の電子供与体P700はChlaとChla'(Chlaのエピマー)の2量体として形成されている。この酸化状態(P700+)でのENDOR(電子核二重共鳴)信号は、単量体Chla型のスペクトルに近いと報告されている。P700の周辺アミノ酸を置換した試料での実験結果にもとづきLubitzらはP700+では電子スピン密度がpsaBブランチ側のChla分子に大きく偏っていると推定している。
Acaryochloris marinaはChldを主要色素としてもつシアノバクテリア型細菌で、その光化学系I反応中心クロロフィルP740は2分子のChldからなる。本研究ではP740+の示すENDOR信号を、P700+、Chla+, Chld+分子の信号と比較検討した。
 P700+とP740+のENDORスペクトルは、Chla+, Chld+スペクトル間の違いから予想される分子構造の違いに由来する大きな違い(例えばC2H3信号の有無など)を示した。しかし、それ以外の点ではP740+とP700+スペクトル間に本質的な差はなく、P740の構造と周囲環境が、P700の場合とよく似ていることを示している。 P700+とP740+の比較よりP700+での電子スピン密度分布は片側のChlaに80%局在していることが示された。

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© 2005 日本植物生理学会
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