抄録
酸素発生型の光合成では、光化学系I(PS I)に二次電子受容体(A1)としてキノンを有するが、PS I型の反応中心を持つヘリオバクテリアや緑色硫黄細菌では、キノンをA1として有するのかまだはっきりしていない。
シアノバクテリアGloeobacter violaceus PCC7421は他のシアノバクテリアとは異なりチラコイド膜を持たず、細胞膜中に光化学系と呼吸系が共存する。この形態は、光合成細菌によく似ている。そのため、G. violaceusはシアノバクテリアの中でも最も古いと推定されている。本研究では、PS I型反応中心で機能する鍵色素の解明を目的として、G. violaceusのPS1の色素分析を行った。
その結果、G. violaceusのPS IにはChl aの立体異性体であるChl a'が1分子存在し、P700としてChl a/a’ のヘテロダイマーを形成していることを明らかにした。また、キノンとしてはメナキノン-4(MQ-4)がChl a’ 1分子当たり2分子検出された。酸素発生型のPS IでA1として機能しているフィロキノンは検出されなかった。このことは、G. violaceusのPS Iが始原的であり、その祖先と考えられるヘリオバクテリアや緑色硫黄細菌にキノンがA1として機能しているなら、それはフィロキノンではなくMQ-4またはその誘導体だと強く示唆する。