日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アカリオクロリスの光化学系I, IIの反応中心の差スペクトルと色素成分
*伊藤 繁岩城 雅代中村 洋子三野 広幸
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p. 003

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抄録
クロロフィルdを主要色素とするアカリオクロリスの単離チラコイド膜上の光化学系IとIIの電子供与体P740とP720の成分を、レーザ誘起後に得られる吸収スペクトル変化にもとづき解析した。
(1) フェリシアナイド添加でP740を前もって酸化すると、半減期0.85ms(相対強度0.3)と0.03ms(0.7)の2成分からなる減衰を示した。差スペクトルは共に同じで671, 700, 725nmに正、684、715nmに負極大を示し、740nmには変化を示さず, DCMU感受性なのでP720の変化といえる。
(2)これにNa-Ascorbateを加えP740を還元すると,負極大740nmで半減期4.4msの一成分、725nmで4.4(0.6)、0.85ms (0.4)とさらに速い成分の三相で減衰した。従ってP720+P740と推定された。
(3) 差スペクトル(2)から(1)を引きP740だけの差スペクトルを得た。これは単離PSI反応中心で報告されたものとほぼ同じだった。
「P740の差スペクトル」は、Chl d-スペシャルペア740nm帯の消失, Chl d-アクセサリー705nm帯の青移動、Chl a-アクセプター680nm帯の青移動として説明された。
「P720の差スペクトル(1)」はChl d-725nm帯の消失、Chl d-721nm帯の青移動、Chl a- または Phe a-680、695nm帯の移動あるいは減少を示唆する。
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© 2005 日本植物生理学会
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