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クロロフィルd (Chl d)を主要色素とし、5%程度のChl aを持つ酸素発生型の光合成原核生物Acaryochlorisのフィコビリン含量の違いと光化学系の関係を調べた。
Acaryochlorisの光化学系I反応中心はすでに単離され、Chl dがアンテナ色素であるとともにスペシャルペアP740として働く事が分かっている(Q.Hu et al. 1998 PNAS)が、いまだ単離精製されていない光化学系IIについては不明の点が多く、フィコビリンと光化学系IIの量的関係もわかっていない。フィコビリン含量の異なるAcaryochloris種を培養し、光化学系I,IIの量比、活性、色素含有量を調べる事でこれらの問題を検討した。
ESRによるYD・とP740+量の測定では、フィコビリンの少ない種は多い種に比べてChl dあたりPSII量が約2倍であった。PSIIだけから出る遅延蛍光強度も約2倍であった。これらの細胞の吸収スペクトル、蛍光スペクトルの測定からChl dの吸収帯も大きく違うことを見出した。チラコイド膜標品を界面活性剤で処理し、ショ糖密度勾配遠心で分離した画分の特徴を検討した