抄録
光化学系2の3重項は反応中心でなくアクセサリークロロフィル上に生成することは配向膜の磁場方向に依存するEPR信号の観測より知られている。アクセサリークロロフィルはD1とD2タンパク上にそれぞれ1個あり、いずれが3重項に関与してるかは
結晶構造が報告された現在でも不明でえる。パルスEPRは電子伝達で生ずるラジカル対間の双極子相互作用を検出し、その周期がラジカル対間距離Rの3乗に比例することより距離決定に有効な手段である。
本報告では、D1D2Cytb559反応中心複合体に受容体キノンDBIBMを導入し、これを還元してそのラジカルがレーザー光照射により誘起された3重項によりスピン偏極されたESEEMを生ずるので、これを観測して3重項からの距離決定を行った。
得られた距離26 オングストロームはD1上のクロロフィルが3重項であることを
X線解析結果とあわせて結論される。