抄録
T-DNAタギングにより、シロイヌナズナの雄性不稔変異体を単離した。この変異体では開花期における花糸伸長に欠陥が見られたものの、花粉の稔性は正常であった。つまり、雄性不稔性の原因は花粉自身ではなく、花糸伸長に起因していると考えられた。透過型電子顕微鏡を用いてWTと変異体のエキシンの発達過程を調べたところ、変異体ではエキシンの構成要素であるスポロポレニンの付着の足場となるプライムエキシンがほとんど形成されないことが明らかとなった。またスポロポレニンは作られるが、小胞子の細胞膜にランダムに付着していた。細胞膜に正常に付着できないスポロポレニンは凝集し、葯室内で顆粒様の構造として見られた。しかし、変異体では開花期には正常なエキシンが形成された。MOJYAO遺伝子をクローニングしたところ、ブラシノステロイド合成に関わるDET2遺伝子であると予想され現在確認を行っている。