日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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花粉の核性を制御するシロイヌナズナ突然変異体nikaku
*久保 美和坂本 亘
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p. 013

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抄録
植物は重複受精をするため、花粉には受精までに2個の精細胞ができる。しかし、成熟花粉では1個あるいは2個の雄原細胞を持つ種があり、雄原細胞が1個の場合は柱頭への受粉後に分裂し2個の精細胞が形成される。このような「核性」の違いは近縁種でも異なることがあり、花粉寿命に関係するともいわれるが、詳しいことは不明である。これまでにシロイヌナズナ花粉のスクリーニングにより、雄原細胞が2個で正常な3核性花粉と、雄原細胞が1個で2核性の花粉が1:1に分離する変異体nikakuを単離した。遺伝解析の結果より、この変異は雌性配偶子には影響しない雄性配偶子致死変異であることがわかった。花粉以外の生長段階で、野生型と異なる形質は観察されなかった。2核性花粉は常に1:1の分離を示すことから、nikakuでは花粉第2分裂 (PMII)が特異的に阻害されていると推測された。また、2核性花粉における生殖核のDNA量は倍加していないので、nikakuはPMIIの初期に影響することが示唆された。2核性花粉が発芽するかどうかは興味深いので、現在解析を進めている。nikakuは3番染色体下腕にマップされ、花粉の核性を支配する遺伝子の1つであると考えており、マップベースクローニングによる原因遺伝子の単離を進めている。
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© 2005 日本植物生理学会
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