日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナスペルミン合成酵素遺伝子欠損株acl5の花茎伸長欠損に対するサプレッサー変異体の解析
*今井 章裕小村 水脈山本 興太朗高橋 卓
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p. 025

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抄録

シロイヌナズナ花茎伸長欠損変異体acl5の原因遺伝子はスペルミン合成酵素をコードしている。ポリアミン(スペルミン、スペルミジン、プトレッシン)はあらゆる生き物の生体内に存在し、細胞分裂過程において重要な役割を持つことが知られているが、植物の形態形成にどのような機構で作用しているかは全く分かっていない。我々はこれまでにACL5と花茎伸長をつなぐ因子を探すため、acl5の抑圧変異体suppressor of acl (sac) 51d-54dを単離・解析してきた。本研究では、植物ホルモンの生合成欠損あるいは情報伝達異常による矮性形質がsac変異によって回復するかどうかを調べた。sac51d-54d変異をオーキシン情報伝達変異体axr2、ジベレリン情報伝達変異体gai、およびブラシノステロイド生合成欠損変異体dimに導入したところ、いずれにおいても花茎伸長の回復は見られなかった。このことから、sac51d-54d変異はこれらの植物ホルモンの作用とは独立にacl5変異体の花茎伸長欠損を回復させていることが示された。acl5では、もう一つのスペルミン合成酵素遺伝子SPMSによりスペルミンが合成されているため、それがsac変異による花茎伸長回復に利用されている可能性がある。そこで、スペルミンを全く合成しないsac acl5 spms三重変異体を作成して調べた結果も報告する予定である。

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© 2005 日本植物生理学会
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