日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジベレリンによるチャノキの栄養成長と開花の制御
*谷本 英一本間 知夫阿部 淳森田 茂紀松尾 喜義ルックス アレキサンダールクスソーバ ミロスラーバ稲永 忍
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p. 028

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抄録
ジベレリンが葉条の栄養成長と開花を制御することは古くから多くの植物で知られており,また,根の伸長と肥大も制御することがいくつかの植物で報告されている。しかし,これらの知見の多くは,草本で得られたもので,木本での知見は少ない。そこで木本の成長にジベレリンがどの程度制御機能を果たしているかを明らかにするため,水耕栽培系で育てたチャノキ(Camellia sinensis cv. Yabukita) を用いて成長観察を行った。
 葉条の成長は根から与えたジベレリンによって促進され,ジベレリン合成阻害剤アンシミドールによって抑制された。根の成長は,アンシミドールによって抑制され肥大が起こり,ジベレリンが共存するとその効果は消失した。このようなジベレリンとアンシミドールによる肥大制御は主に皮層細胞の肥大によって起こっていた。ジベレリン単独では,根が細くなる傾向は見られたが,大きな伸長促進はみられなかった。これらの栄養成長の制御は,エンドウなどでみられる成長制御様式と同様であった。
 一方,アンシミドール処理によって花芽の誘導が強く促進された。顕著な場合には,処理を始めてから成長し始めた側芽が,すべて花芽に分化した。ジベレリンによるこのような花芽の誘導や葉条の成長制御は,交配など実生による繁殖の効率上昇や茶葉生産に有用かもしれない。
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© 2005 日本植物生理学会
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