ネットワークポリマー
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蛍光測定によるオクタデシル基を有するポリアニオンと カチオン性リポソームとの相互作用の評価
水﨑  真伸森島  洋太郎Winnik M. Françoise
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2015 年 36 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

 疎水基としてn- オクタデシル(ODA)基を有するポリ(2- アクリルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)(PAMPS)とカチオン性リポソームとの相互作用を,蛍光スペクトル測定および動的光散乱測定により評価した。PAMPS 中に蛍光測定のために導入したピレニル(Py)基のエキシマー発光とモノマー発光の強度比より,ODA 基を有するPAMPS とリポソームとの間で複合体形成が起こっていることが示された。また,複合体形成は静電相互作用と疎水性相互作用によって起こっていることが明らかとなった。さらに複合体の安定性を評価するため,ジメチルエチル(- 2- アクリルアミドエチル)- アンモニウムブロミドとN- イソプロピルアクリルアミドとの共重合体からなるポリカチオンを,PAMPSとリポソームの混合溶液に添加した場合に,PAMPS/ リポソーム複合体が保持されているか崩壊するかを調べた。その結果,ODA 基を5 mol% 有するPAMPS では,PAMPS/ リポソーム複合体は保持されるが,疎水基を含まないPAMPS を用いた場合,複合体は崩壊することが示された。

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