日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オオムギのgibberellin 3β-hydroxylase遺伝子(HvGA3ox2)は、発芽時の胚盤上皮細胞で特異的に発現し、その発現はAmy1発現と密接に関連する。
鈴木 一石山 賀奈子小林 正智*小川 俊也
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p. 030

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抄録
発芽オオムギより調製したRNAから、活性型GA(GA1)合成の最終ステップであるgibberellin 3β-hydroxylase(HvGA3ox)をコードするcDNAを取得した。大腸菌内で発現させたHvGA3ox-cDNAは、GA9、GA20をそれぞれ、GA4、GA1に変換する活性が認められた。取得したHvGA3ox-cDNAの推定アミノ酸配列は、最近Spielmeyerらによって報告された、HvGA3ox2と同一であった。HvGA3ox2の発現を、生育段階の各組織を用いて検討したところ、発芽時にのみ特異的に発現が認められた。発芽時にGA3、およびGA生合成阻害剤であるウニコナゾールによる処理を行いHvGA3ox2の発現を検討した所、顕著な発現変動は認められず、典型的なfeedback阻害は受けていないことが解った。発芽種子におけるHvGA3ox2の発現を詳細に解析したところ、Amy1発現に先立って、吸水後12時間で認められ、少なくとも吸水後3日目まで検出された。また、種子中の発現部位を、In situ hybridizationにより検討したところ、HvGA3ox2は胚盤上皮細胞でのみ発現することがわかった。これらの結果から、オオムギ発芽時の胚盤上皮細胞におけるGA合成が、Amy1発現に重要であり、HvGA3ox2の発現はそのGA合成に重要な働きをしていることが強く示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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