日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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DELLAドメインを持たないGRASタンパク質は、イネにおいてジベレリンシグナル伝達を抑制する
*島田 麻子伊藤 博紀上口(田中) 美弥子神谷 紀子芦刈 基行松岡 信
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p. 035

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抄録
イネSLR1 (SLENDER RICE 1) 遺伝子は、DELLAタンパク質をコードしている。DELLAタンパク質は、GRASファミリーに属しジベレリン (GA) シグナル伝達のリプレッサーとして機能する。恒常的GA反応性変異体slr1の徒長表現型から、SLR1は、イネにおいて唯一のDELLAタンパク質型のGAシグナル抑制因子と考えられた。しかしながら、イネDNAデータベース検索の結果、イネゲノム中には、SLR1の相同配列SLR1-like (SLRL)が存在していることが新たにわかった。SLRLは、DELLAモチーフを持たないが、その一次構造は、DELLAタンパク質であるSLR1のC末端側と高い相同性を示した。SLRLタンパク質を過剰発現する形質転換イネは、矮性表現型を示し、OsGA20ox2遺伝子の発現が高くなっていた。従って、SLRLは、GAシグナルの抑制因子として働くと考えられた。また、SLRLは、GAレベルにより転写量が正に制御されており、生殖器官でより発現していた。これらの結果から、イネGAシグナル伝達におけるSLRLの役割について議論する。
本研究の一部は、生研機構基礎推進事業の支援で行われた。
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© 2005 日本植物生理学会
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