日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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プロモーター領域をdsRNAに用いたサイレンシングとそのエピジェネティックな影響
*岡野 陽介三木 大介島本 功
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p. 041

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抄録
 近年、分裂酵母とシロイヌナズナにおいて、内在性siRNAのシグナルが、セントロメアやトランスポゾンのヘテロクロマチン形成に関与していることが示唆されている。しかし、これらsiRNAのエピジェネティックな影響に関する知見は、非常に乏しいのが現状である。
 そこで、本研究では、siRNAのエピジェネティックな現象をさらに解析するため、プロモーター領域のsiRNAを高発現する形質転換イネを作出した。本研究では、標的遺伝子に、外来遺伝子である35S::GFPと、内在遺伝子として、恒常的に発現しているOsRacを用いた。その結果、35SプロモーターのsiRNAは、標的35S::GFPの顕著なサイレンシングを誘導したが、OsRacプロモーターのsiRNAは、標的OsRacのサイレンシングを誘導しなかった。続いて、siRNAが誘導するエピジェネティックな影響を調べたところ、興味深い結果が得られた。それは、de novo DNAメチル化は、35S::GFPOsRac、どちらの標的プロモーターDNAにも誘導されていたが、ヒストンH3の脱アセチル化およびK4ジメチル化は、顕著にサイレンシングしている35S::GFPの標的プロモーターにのみ観察された。 これらのことから、siRNAのエピジェネティックな影響において、外来遺伝子と内在遺伝子の間には、ヒストン修飾の分子機構に差異があることが推測される。
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© 2005 日本植物生理学会
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