日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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病害ストレス応答性MAPキナーゼを不活性化するホスファターゼの性質と機能
*出口 友美加藤 新平吉岡 博文道家 紀志川北 一人
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p. 050

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抄録

病害ストレスに応答して活性化されるタンパク質リン酸化酵素(MAPK)が植物の誘導抵抗反応の制御に深く関わっている。MAPKの活性化にはMAPKKによるスレオニンとチロシン両残基のリン酸化が必要とされ、一方、活性化されたMAPKはスレオニンあるいはチロシン残基の脱リン酸化により不活性化されるが、この脱リン酸化酵素の実体は明らかではない。今回、ジャガイモ疫病菌菌体壁成分エリシター(HWC)処理により活性化されるジャガイモ植物のMAPK (StMPK1)を不活性化する脱リン酸化酵素の性質について検討した。ジャガイモ懸濁培養細胞より調製した粗酵素標品とStMPK1を反応させたところ、StMPK1の活性は著しく低下した。阻害剤実験により本酵素はセリン/スレオニン型脱リン酸化酵素であると考えられた。また、脱リン酸化酵素の候補として、近年報告されたアルファルファMP2CのホモログをジャガイモcDNAライブラリーより単離し、ノーザン解析を行ったところ、HWCエリシター処理により誘導が認められた。また、その発現タンパク質を大腸菌を用いて作製し、StMPK1にジャガイモMP2Cを加えたところStMPK1は脱リン酸化され、不活性化された。現在、タバコ植物を用いてMP2Cホモログ遺伝子のサイレンシング株および過剰発現株を作出し、ジャガイモMP2Cのin vivoでの機能解析を試みている。

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© 2005 日本植物生理学会
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