抄録
これまでに植物が放出するテルペノイドなどの匂いが、他の植物個体に対して遺伝子発現や根の伸長阻害を引き起こすことを明らかにしてきた。しかしこれら匂い受容の分子機構は全く不明である。動物における匂い受容体であるGタンパク質共役型受容体GPCRと配列が類似した遺伝子をシロイヌナズナゲノムから 6つ見つけた(AtGPCR1-6)。いずれも各組織で発現していたが、AtGPCR1、6は花・蕾での発現量が少なく、この傾向はGPA1(Gタンパク質αサブユニット遺伝子)と似ていた。このことはAtGPCR1、6がGPA1と機能的に関連していることを示唆している。AtGPCR2、5は逆に花・蕾で強く発現していた。植物由来テルペノイドであるBornyl acetateはLOX(lipoxygenase遺伝子)の発現を誘導するが、AtGPCR5のT-DNA挿入型欠損変異体では抑制した。その他のAtGPCR欠損変異体の匂い応答についても報告する。