抄録
我々はこれまでに、塩誘導性のAP2型タンパク質DDF1を高発現させたシロイヌナズナでは、ジベレリンの合成中間体を分解するAtGA2ox7遺伝子の発現量が増加し、その結果、活性型ジベレリンの内生量が減少してわい化することを明らかにしている。また、 DDF1のアミノ酸配列はDREB1/CBF転写因子と高い相同性を示し、DDF1を高発現させると DREB1/CBFによって転写が誘導されるRD29A遺伝子の発現が上昇することも明らかとなっている。そこで、RD29A遺伝子のプロモーターにレポーター遺伝子をつないでシロイヌナズナ葉に導入したところ、レポーター遺伝子の活性がDDF1の共導入によって上昇し、 さらにプロモーター中のDREB1/CBFの結合するDRE配列にDDF1が特異的に結合することがゲルシフト法により示された。一方、AtGA2ox7のプロモーターを用いた場合でもレポーター遺伝子の発現は活性化され、またこの領域に見られる複数のDRE様配列にDDF1が特異的に結合できることが明らかになった。以上の結果から、DDF1はシロイヌナズナにおいて転写活性化因子としてこれらの転写を直接活性化していることが示唆された。