日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細孔内に吸着された紅色光合成細菌アンテナ色素タンパク質複合体LH2の構造と性質
*小田 一平柴田 穣梶野 勉福嶋 喜章岩井 覚司伊藤 繁
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p. 066

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抄録
紅色光合成細菌のもつリング状のアンテナ色素タンパク質複合体Light-Harvesting complex 2 (LH2:外径7nm) を、リング外径と同程度(7.9nm)の内径の孔をもつシリカメソ多孔体内に吸着させた。LH2は好熱性紅色光合成細菌Thermochromatium tepidum から抽出しHPLCを用いて精製した。窒素吸着量の変化の測定結果から、吸着したLH2の大部分はシリカの細孔中に吸着していると考えられる。内部吸着後のLH2の吸収スペクトルはB850の吸収帯がわずかに(3nm)red-shiftしているがB800-B850のエネルギー移動は完全に起こる。したがってLH2特有のリング構造が保存されておりアンテナとしての機能も保持されていると考えられる。吸着後の蛍光減衰は著しく速く(27 ps)なっており吸着によって何らかの変化がLH2に起こっていると推測される。B850スペクトルの温度依存性をUV-vis 分光とStreak cameraにより測定した蛍光寿命の結果などに基づき、LH2が固体内に多量に吸着され構造揺らぎが制約されることで受ける影響を明らかにする。
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© 2005 日本植物生理学会
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