抄録
PASドメインは、アミノ酸配列は多様だが、立体構造は保存されているスーパーファミリーであり、光、酸化還元状態、電圧、酸素などのセンサー、二量化のリンカーなどの多様な機能ドメインを含む。近年、PASドメインの構造や機能に関する知見が蓄積してきたが、未だ多くの機能未知PASドメインが存在する。シアノバクテリア Anabaena sp. PCC 7120においては、多くのマルチドメインタンパク質が存在し、特にPASドメインが豊富に存在していた。しかし、その殆どが機能未知PASドメインであった。そこで、我々はこれまでにin silico研究として、Anabaena 7120において143個のPASドメインを見出し、近縁種との比較ゲノム解析から、25個の推定センサーPASドメインを見出した。本研究では、新奇センサーPASドメインを同定するために、これら25個の推定センサーPASドメインを、大腸菌でヒスタグ融合タンパク質として発現・精製した。リガンド結合型センサーと仮定し、吸収スペクトルの測定と金属定量により、リガンドの同定を試みた。その結果、特定の金属を結合するPASドメインや、特異的な吸収帯をもつPASドメインが検出された。これらについて詳細解析し、センサーとしての機能について議論する。