日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉脈形成に関与するシロイヌナズナ VAN3 遺伝子及びそのホモログの分子遺伝学的解析
*楢本 悟史澤 進一郎小泉 好司久保 稔出村 拓上田 貴志中野 明彦福田 裕穂
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p. 081

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抄録
維管束分化の空間的制御機構を解明するために、我々はシロイヌナズナの葉脈パターンに異常のある van3 変異体の解析を進めてきた。これまでにVAN3 は BAR, PH, ANK repeats domain を持つARF (ADP ribosylation factor) ミGAP (GTPase activating protein) をコードしており (以下、AZAP)、トランスゴルジネットワークにおいて小胞輸送を制御する因子であることを報告した。本研究ではシロイヌナズナにおけるAZAPの機能を体系的に理解することを目的として、シロイヌナズナに存在する全 4 個の AZAP を同定し、それらの上流域に連結した GUS 遺伝子の植物体における発現解析を行った。その結果、VAN3 は葉脈形成過程において未分化な状態では葉全体に発現が観察され、分化の進行に伴い維管束に発現が限定されることが明らかとなった。同様の発現は他の AZAP においても観察された。一方、根に関しては他の AZAP は静止中心やコルメラ細胞で発現が確認されたのに対して VAN3 はそれらの組織では発現せずに、維管束及び伸長域において発現が観察された。以上の事より、根においてこれらの遺伝子は異なる組織で働くことが示された。現在VAN3 とそのホモログの細胞内局在解析及び T-DNA 挿入株の表現型解析を行っており、これらの結果を併せて植物における AZAPの機能について考察する。
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© 2005 日本植物生理学会
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