日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉脈パターン形成機構の分子遺伝学的解析
*槻木 竜二鷲見 芳紀丸山 望岡田 清孝
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p. 080

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抄録
維管束植物の葉脈パターンを記載する組織学的知見は多く、各種植物は固有の葉脈パターンを持つことが知られている。一方、葉脈パターン形成の仕組みに関する知見は乏しく、葉脈パターン形成の分子機構はほとんど明らかにされていない。私たちは、葉脈のパターン形成に関わる遺伝子を分子遺伝学的に同定し、解析することを進めている。これまでに葉脈のパターンが異常なシロイヌナズナ突然変異体を複数得た。得られた突然変異体は少なくとも3つのグループに大別された:葉脈が減るもの(no vein, 2B-17, 3B-55,他4系統)、葉脈が断片化するもの(5系統)、葉脈が太くなるもの(1D-1, 他2系統)。no vein (nov) 突然変異体のロゼット葉では葉脈が全く形成されないことが多く、形成される場合でも2次脈以降の維管束がほとんど形成されない。また、前形成層マーカー ATHB8 の発現が観察されないことも多く見られた。これらは、NOV 遺伝子が葉脈の前形成層形成に必要なことを示唆している。NOV は、分子量約 280 kD の機能未知のタンパク質をコードし、adaptor protein-3 δ subunit と部分的に相同な領域、Hsp90 や DNA ヘリカーゼ、ヒスチジンキナーゼに最近見いだされた ATPase ドメインと相同な領域を含んでいた。突然変異体の表現型やマーカー遺伝子の発現パターン等から、NOV、及び 1D-12B-173B-55 遺伝子の葉脈形成における役割について考察する。
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© 2005 日本植物生理学会
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