日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの分裂組織維持に関わるLOG遺伝子の解析
*倉川 尚前川 雅彦経塚 淳子
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p. 087

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抄録
イネでは栄養成長期から生殖成長期に転換すると、茎頂分裂組織から腋芽として1次枝梗が発生し、1次枝梗からは2次枝梗および小穂が形成される。小穂には外側から1対の護穎、1枚の外穎、1枚の内穎、2枚のリンピ、6本の雄蕊、1本の雌蕊が形成される。枝梗や小穂が正常に形成されるためには、分裂組織の正常な維持が重要である。lonely guylog)変異体は枝梗パターンの異常、花器官数の減少という表現型を示し、花器官の退化は内側ほど著しい。花器官分化期における花分裂組織は扁平な構造になり、花器官の分化が途中で止まっていた。このことから変異原因遺伝子LOGは生殖成長期において分裂組織の維持に働いていることが示唆された。ポジショナルクローニングによりLOG遺伝子を単離したところ、リジン脱炭酸酵素に相同性の高いタンパク質をコードする遺伝子であることがわかった。リジン脱炭酸酵素はリジンを基質として、ポリアミンの一種、カダベリンを合成する酵素である。ポリアミンが植物の形態形成に関与しているという報告例は少なく、カダベリンの機能については何の知見もないが、われわれの結果はカダベリンが植物の形態形成に重要な働きを担っているという可能性を示唆する。今後は、LOGタンパクのリジン脱炭酸酵素としての活性の有無を決定する必要がある。
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© 2005 日本植物生理学会
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