日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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側生分裂組織形成に関わるLAXの転写調節機構
*助川 慎経塚 淳子
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p. 088

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抄録
イネの形態は栄養生長期に形成される分げつ、生殖成長期の穂に形成される枝梗や側生頴花など側生分裂組織から分化する器官に大きく影響される。しかし側生分裂組織形成のメカニズムはいまだ明らかにされていない。LAXは側生分裂組織形成に必須の遺伝子であり、lax変異体では穂の側生器官が減少する。LAXはbasic Helix-Loop-Helix(bHLH)タンパク質をコードする転写因子であるが、そのアミノ酸配列からDNA結合能力を持たず、他のbHLHタンパク質とヘテロダイマーを形成し、ダイマーパートナーの機能を阻害すると予想される。またLAXは側生分裂組織の向軸側を囲むような層状の発現を示しており、どのように分裂組織形成を誘導するのか興味深い。われわれはLAXの分子機能を解析するため、LAXの下流で機能する遺伝子群の解析とLAXの直接のターゲット遺伝子およびLAXのパートナー遺伝子の探索を行っている。DEX誘導系を用いたマイクロアレイ解析により、LAXの発現を誘導することによって転写因子やオーキシンシグナル伝達に関与する遺伝子の発現が上昇することが確認された。このことからLAXが側生分裂組織形成の境界部でのオーキシンシグナル伝達を調節している可能性が示唆された。現在、パートナー遺伝子の探索とともにLAXが直接に転写を調節するターゲット遺伝子の解析を進めている。
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© 2005 日本植物生理学会
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