日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのBRI1 null変異体d61-4の解析
*中村 郁子藤岡 昭三春原 英彦洪 治神谷 典子上口 美弥子北野 英己松岡 信
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p. 102

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抄録
 我々は既に発表したd61-1, d61-2を含め、これまでに10個のOsBRI1遺伝子欠損変異体のアリルを単離した。これらの変異体はアリルにより様々な強弱の表現型を示した。これらの変異体は表現型が強くなるに従い、葉鞘長、冠根数及び種子根の側根数が減少した一方で、葉身長や種子根長への影響は少なかった。これらのOsbri1の中で最も強い表現型を示すnullアリルのd61-4に着目し解析した。播種後一ヶ月のd61-4では活性型ブラシノステロイド(BR)であるカスタステロンが地上部で野生型植物の約30 倍に蓄積していた一方で、地下部では野生型と大きな違いは見られなかった。半定量的RT-PCRの結果、BR生合成経路のC6位酸化酵素をコードするDWARF遺伝子の蓄積も地下部よりも地上部の方が著しいことが分かった。地下部ではBRI1ホモログであるBRI2及びBRI3が発現しており、特にBRI3はd61-4で発現が野生型と比較して増加していることから、これらが相補的に作用することによりBRI1欠損による影響が緩和された可能性が考えられた。d61-4は受精後5日目以降の胚発生で発達に異常が見られ、野生型植物と比較してシュートと根が近接し、小型で奇形の器官を形成した。
 本研究の一部は生研機構基礎研究推進事業の支援で行われた。
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© 2005 日本植物生理学会
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