抄録
ABA応答に異常を示す突然変異体を得るためにシロイヌナズナCol株を対象にABA類縁体に感受性を示す突然変異体の探索を行い、ABA高感受性変異体ahg1~7を分離した。そのうちの一つであるahg3の解析について報告する。単離されたahg3-1は発芽においてABA、NaCl、KCl、マンニトールに高感受性を示した。発芽後の芽生えの生長においてはNaCl、KCl、マンニトールに感受性を示した一方、ABAに対する応答は野生株と変化がなかった。また生育3週間の植物体のABA・ストレス誘導性遺伝子の発現をノーザン解析によって調べたが野生株との変化はなかった。昨年の本大会で報告したように、ahg3-1の原因遺伝子はPP2CをコードするAtPP2CAであることがマッピングにより推定されていた。ahg3-1組換えタンパク質のPP2C活性は野生型の百分の一以下に低下していた。T-DNA挿入変異株であるahg3-2も発芽時においてABA高感受性であることがわかった。また、ABA情報伝達に関与するとされる他のシロイヌナズナPP2CのT-DNA挿入変異株との発芽時におけるABA感受性を比較したところ、ahg3-2の感受性が最も強いことがわかった。この結果から、AHG3/AtPP2CAは、ABA情報伝達経路の負の制御因子と推察されるPP2C群の中でも、発芽時において重要な役割を演じていると考えられる。