日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単一細胞分析による紫色アジサイの花色変異機構の研究
*吉田 久美伊藤 大輔新海 陽介三木 直子外山-加藤 友紀近藤 忠雄
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p. 118

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抄録
目的 アジサイ(Hydrangea macrophylla)の花色変異の最大の特徴は、同一の成分(delphinidin 3-gulcoside, 3-acylquinic acid, 5-acylquinic acid, Al3+)から赤、紫、青色のいずれの色も発色することである。我々は、萼片からの着色細胞の調製と細胞の色測定、液胞のpH測定、および、有機・無機成分分析、さらには成分からの色の再現実験を組み合せ、アジサイの花色変異機構の解明を目指している。今回、紫色のアジサイガク片が青、紫、赤色細胞のモザイク状であることを見出したので、これを用いて単一細胞でのミクロ分析を行なった。
方法および結果 紫色ガク片をプロトプラスト化したところ、赤から青色までの様々な色の細胞混合物が得られた。顕微分光による単一細胞の吸収スペクトル測定と細胞内微小電極法による液胞pHの直接測定を組みあわせ、色と液胞pHの相関を調べたところ、単色の青色、赤色のガク片細胞とは異なり、両者に相関は認められなかった。しかし、助色素のアントシアニンに対する当量比、およびアルミニウムイオンの当量比には違いが認められた。青色細胞内で赤色よりも5-アシル化キナ酸が多いことと、アルミニウムイオンが多い傾向が認められた。現在、試験管内での色再現実験を進めている。
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© 2005 日本植物生理学会
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