日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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硫酸イオントランスポーターSULTR1;1の硫黄栄養応答シス配列の同定
*丸山 明子中村 有美子渡部(高橋) 晶子井上 恵理山谷 知行高橋 秀樹
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p. 135

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抄録
高親和型硫酸イオントランスポーターSULTR1;1はシロイヌナズナの根において外界からの硫酸イオン吸収を担っている。SULTR1;1の遺伝子発現は環境中の硫酸イオン濃度の減少に応答して増加する。このことは硫黄欠乏下(-S)で植物が硫酸イオンの吸収を増すための適応機構であると考えられているが、その分子機構についてはほとんど知られていない。そこで本研究ではSULTR1;1プロモーターに存在するシス配列の同定を試みた。ルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとしてシロイヌナズナの形質転換体を作製し、5'デリーション解析を行ったところ、SULTR1;1の-S応答には上流-2777から-2761の間の16bpが必要であることが分かった。この16bpは単独でも-S応答を誘導することができ、この領域をsulfur responsive element (SURE)と名付けた。SURE内にはauxin response factor (ARF)結合配列が存在していたが、SUREはオーキシンには応答せず、そのS特異的な機能が示唆された。さらに塩基置換解析を行い、ARF結合配列内の5塩基(GAGAC)のコア配列が重要であることを明らかにした。マイクロアレイ解析を行い、短期間で-S応答を示す遺伝子について上流域を調べたところ、いくつかの遺伝子の上流域にコア配列が存在していた。このことから、今回同定したSUREが-S応答全般に機能している可能性が示された。
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© 2005 日本植物生理学会
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