日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの新規カドミウム高感受性変異体における表現型解析と原因遺伝子の探索
*市川 和樹小嶋 和明大野 豊小林 泰彦太治 輝昭田中 重雄坂田 洋一
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p. 136

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抄録
代表的な土壌汚染重金属であるカドミウム (Cd) に対する植物の耐性には、グルタチオン (GSH) から合成されるファイトケラチン (PC) が知られているが、PC 合成酵素を過剰発現させた植物体は Cd 高感受性を示し、Cd 耐性能を付与することができないことが報告された。そこで我々は、PC 以外による Cd 耐性機構の解析を目的として、ランダムに大規模な欠損が予想されるカーボンイオンビームを変異原として用い、シロイヌナズナの Cd 高感受性変異体 (Cd sensitive mutant 1 ;cds1) を単離した。cds1 変異体は野生型株と比べ、Cd と Hg に高い感受性、Zn に対してわずかに高い感受性を示し、PC-GSH 合成系の変異体と同様の表現型を示した。しかし、cds1 変異体と PC 合成酵素欠損株との交配による相補性試験の結果、PC 合成酵素とは異なる原因遺伝子であることが判明した。また PC の基質である GSH 添加条件下でも、cds1 変異体は Cd 感受性を示すことから、PC-GSH 合成系とは異なる Cd 耐性機構に変異が起こっていることが示唆された。
cds1 変異体は劣勢の一因子支配であることが明らかとなり、現在変異遺伝子のマッピングを行っているので、その結果についても併せて報告したい。
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© 2005 日本植物生理学会
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