日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻のSmtAを改変したポリペプチドの金属結合能
*林 秀則松本 亘弘中岡 美和西山 佳孝
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p. 137

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抄録
ラン藻Synechococcus sp. PCC 7942のメタロチオネイン様タンパク質SmtAは、Zn2+などを結合するキレーター型の重金属ストレス応答タンパク質である。SmtAのN末端側の領域(Met1~Cys47)には2個、C末端側の領域(Gly43~Gly56)には1個のZn2+が結合すると推測されている。本研究ではSmtAの N末端領域を連続的に接続したポリペプチドを作製し、分子改変したSmtAによる重金属結合能をin vivoおよびin vitroにおいて解析した。
 smtA 遺伝子にそのN末端領域のDNA断片を複数個接続し、これをGSTとの融合タンパク質として大腸菌で発現させ、最大で10個のN末端領域を含むペプチドを作製した。ICP発光分析によりZn2+結合数を調べた結果、野生型SmtAのZn2+結合数約3に対し、N末端領域を1つずつ増やしていくにしたがってZn2+結合数が増加した。例えばN末領域を10個接続したものには約26個のZn2+が結合した。酸の滴定よるZn2+の解離を調べたところ、結合したZn2+のほとんどはSmtAにおける本来の結合と同様な結合をしていると推測された。また改変したSmtAに結合したZn2+の約90%はCd2+と置換できた。SmtA あるいは改変SmtAを発現させた大腸菌の菌体には、野生株より数倍のZn2+が含まれており、改変タンパク質が細胞内における重金属蓄積に有効に機能すると考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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