抄録
植物細胞は病気や傷などのストレスに対する防御応答系を備えている。そのシグナル伝達経路として、MAP Kinases (MAPK) cascadesが機能することは知られているが、その経路の最終段階は不明である。つまり、MAPKKによりリン酸化されたMAPKが標的とするタンパク質は明らかにされていない。本研究室ではタバコのMAPKであるWIPKと相互作用する転写因子NtWIF (Nicotiana tabaccum WIPK interacting factor)をyeast two hybridにより単離した(国際植物分子生物学会、バルセロナ2003)。
本研究ではNtWIFの植物内での機能を明らかにするため、過剰発現植物体と発現抑制植物体 (RNAi)を作製した。傷による遺伝子発現パターンを野生株と比較したところ、過剰発現植物体では無処理の時からPR蛋白質遺伝子が過剰に発現していた。植物内のホルモン量の測定した結果、サリチル酸が過剰に生産されることが明らかになった。発現抑制株についても、検討中である。さらに、導入遺伝子によって影響をこうむった遺伝子群を網羅的に探索するために、マイクロアレイ解析をおこなった。