日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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遺伝子機能解析のためのハイスループットなシロイヌナズナ培養細胞の形質転換法と凍結保存超低温保存法の確立
*小川 洋一森 久美子櫻井 望鈴木 秀幸斉藤 和季柴田 大輔
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p. 145

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抄録
 我々は現在、工業原材料生産に関わる多種多様な植物での代謝制御方法の開発を最終目標として、シロイヌナズナの代謝関連遺伝子に関するハイスループットな遺伝子機能解析(トランスクリプトミクス・メタボロミクス)をシロイヌナズナ懸濁培養細胞T87株で行なっている。しかし、ハイスループットな遺伝子機能解析を行なうには、多数の遺伝子を短期間で培養細胞に導入し、なおかつ多数の形質転換培養細胞系統を効率良く保存するための技術が不可欠である。
 本研究では、シロイヌナズナ懸濁培養細胞T87株を材料に培養細胞の形質転換・超低温保存を可能とする種々の条件を検討し、培養細胞をハイスループットでビーズに包埋することで形質転換・超低温保存するための手法を確立した。アグロバクテリウム法による形質転換では、1人あたり24種類の遺伝子を5日間で培養細胞に接種することが可能であり、形質転換培養細胞の作出までを2~3週間で行なうことが可能である。また、予備凍結法による超低温保存では、1人あたり200バイアルを1日で超低温保存することが可能となった。今回確立した手法は、シロイヌナズナT87株の代謝関連遺伝子を始めとしたハイスループットな遺伝子機能解析を行なううえで重要な技術であると考えられる。さらに今回確立した超低温保存法は、他植物種・培養細胞系統にも応用することが可能である。
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© 2005 日本植物生理学会
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