日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ全ゲノムタイリングアレイを使ったコーディング・非コーディング遺伝子構造の解明
*豊田 哲郎篠崎 一雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 154

詳細
抄録
近年、DNAチップ技術の発展によって、全ゲノムをカバーするようにプローブが設計されたチップ(タイリングアレイ)が利用可能となり、新規遺伝子の発見など多目的な用途における非常に強力なツールとして期待されている。しかし、タイリングアレイでは、一つの遺伝子領域に膨大な数のプローブが対応し、その測定データにもノイズが多く含まれる。このため、構造がわかっていない遺伝子の発現レベルをそこから推定するには統計的手法が必須であり、キーテクノロジーとなるバイオインフォマティクスが求められている。そこで、我々は、双方向性隠れマルコフモデルに基づいて観測された発現値や塩基配列の尤度が最大になるようにエクソン・イントロン構造を構造未知遺伝子について推定する統計的手法を開発した。本手法をプログラムARTADEとして実装し、シロイヌナズナのタイリングアレイデータに適用したところ、新規な6,513遺伝子を含む、20,168遺伝子の構造が予測された。また、本手法で推定される発現値は事前の構造情報がなくとも正しい値を良く再現することが分かった。この事実により、構造未知遺伝子と既知遺伝子の発現値を一括解析できるようになり、新規の遺伝子発見や機能解析の効率化が期待できる。プログラムARTADEは我々のホームページ(http://omicspace.riken.jp/ARTADE/)からダウンロードして使える。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top