日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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微小管構築におけるPLDの作用機作
*平瀬 愛新免 輝男園部 誠司
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p. 158

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抄録
表層微小管が細胞膜に架橋されていることが電子顕微鏡を用いた観察などから明らかにされている。しかし、どのようなタンパク質が表層微小管を細胞膜に架橋しているのかは明らかにされていない。Dhonuksheら(2003)はタバコBY-2細胞をn-butanolで処理すると、表層微小管が細胞膜から脱離し、配向が乱れると報告し、架橋がPhospholipase D(PLD)であるとするモデルを提唱している。今回この検証を行った。タバコ培養細胞BY-2細胞をn-butanolで処理し、間接蛍光抗体法により微小管を観察したところ、断片化した表層微小管がみられ、非処理のものやt-butanolで処理したものでは正常な表層微小管が観察された。プロトプラストを用いた場合も同様の結果が得られた。次に、プロトプラストをn-butanolで処理した後、細胞膜ゴーストを作製し、間接蛍光抗体法により微小管を観察した。その結果、微小管は断片化したが、ゴースト膜上に残っていた。Taxol存在下でn-butanolでの処理を行うと、細胞、プロトプラストいずれの場合も表層微小管の断片化はおこらなかった。また、細胞膜ゴーストをn-butanolで処理しても表層微小管の断片化は見られなかった。これらの結果はPLDによるリン脂質代謝が微小管の安定性に関わっていることを示唆している。また、n-butanolがPLDに作用しても微小管は細胞膜に残っていることから、表層微小管を膜に結合させているものは必ずしもPLDではない可能性が示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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