日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの2次細胞壁合成変異体カマイラズ(bc3 )原因遺伝子の機能解析
平野 恒小竹 敬久綱 香穂里円谷 陽一金子 康子空閑 重則*川崎 信二
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p. 166

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抄録
イネやオオムギ等で知られる一群の変異体「カマイラズ:鎌要らず」の桿はその名の通り、曲げると簡単に折れてしまう。bc3 変異体は出穂したイネの節間でのセルロース含量が約3/4に減少しており、偏光顕微鏡観察・カルコフロアーによる染色などでも道管部や柔組織において複屈折・セルロース量の減少や細胞壁厚の低下が認められた。さらに電子顕微鏡での観察でも、細胞壁が野生型に比べ明らかに薄いことが認められた。X線によるセルロースの結晶構造解析では、変異体の結晶性・ミクロフィブリル形態とも野生型との違いは認められなかった。これから、桿の折れやすさはセルロース量の減少が原因になっているものと示唆された。平野等の報告にもあるとおり、我々は今回bc3 原因遺伝子の単離に成功したが、単離したBC3遺伝子のpromoter-GUSによる発現解析の結果、若い葉や桿の道管部と伸長生長部の根の中心柱など主に分裂の盛んな若い組織及び、発達した桿の厚膜組織において特異的な発現が認められた。さらに同遺伝子とGFPの融合タンパク質は成熟した根においては細胞膜に局在するものの、分裂中のタバコの培養細胞(BY-2)では主に細胞質内にシグナルが検出された。これらの結果と遺伝子ファミリーの機能とからBC3遺伝子の細胞壁合成、特に2次壁合成に関わる機能を推察する。
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© 2005 日本植物生理学会
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