日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Minタンパク質によるシロイヌナズナの色素体分裂制御
*藤原 誠伊藤 竜一丹羽 康夫中村 郁子嶋田 幸久Mφller Simon吉田 茂男佐藤 直樹
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p. 174

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抄録
葉緑体分裂には、進化的に保存されたバクテリア様分裂因子群と真核生物特有のダイナミン様タンパク質が関わる。バクテリア様因子のうちMinDとMinEの二種はバクテリアでは細胞分裂の位置決定に関わる。最近、シロイヌナズナMinE相同因子(AtMinE1)が第三の葉緑体分裂因子として機能すること、またシロイヌナズナ葉緑体分裂異常変異体arc11 (accumulation and replication of chloroplasts 11)がMinD相同遺伝子(AtMinD1)の機能欠失変異体であることが示された(参考文献1,2)。arc11変異体及びAtMinE1のシロイヌナズナ形質転換系統は、通常条件下で正常な生育を示したものの、葉肉細胞中に様々な大きさまたは形状の葉緑体を含んでいた。また発達中の緑色組織には異常極性伸長した葉緑体が多数存在しており、それらの葉緑体は長軸方向に沿って複数の狭窄部位を形成していた。さらに、複数配された狭窄部位は不規則な間隔で位置しており成熟細胞の異形葉緑体が分裂位置異常により生じる過程が推測された。以上の観察結果は、高等植物のMinDとMinEがバクテリア因子と同様に、オルガネラの分裂位置決定を司ることを強く示唆した。
参考文献[1] Itoh et al. (2001) Plant Physiol. 127, 1644-1655. [2] Fujiwara et al. (2004) J. Cell Sci. 117, 2399-2410.
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© 2005 日本植物生理学会
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