抄録
Cyanidioschyzon merolae(通称シゾン)は核、葉緑体、ミトコンドリア、マイクロボディ、ゴルジ体を1つずつしか持たない単純な形態をしており、オルガネラの増殖の研究に用いられてきたが、これまでリソソームは同定されていない。私達はシゾンに存在する、DAPIにより黄色に染色される顆粒状の構造に着目して解析を行った。DAPIはポリリン酸と結合すると黄色の蛍光を発することが知られている。他の生物において液胞にポリリン酸が豊富に存在するという報告があることから、この構造がリソソームである可能性が考えられた。この構造は細胞内に複数個存在し、細胞によってその数に差が存在することが分かった。また、細胞分裂時には細胞質から細胞核の下に位置するミトコンドリアの上部へと移動し、娘細胞にほぼ均等に分配されることが分かった。この構造の同定を行うため、酸性小器官を染色するキナクリンにより染色した結果、同様な形態、挙動、数を示す構造が染色されること分かった。また、電子顕微鏡観察により、電子密度の高い物質を含む単膜で包まれた器官が同様の挙動を示すことが分かった。これらのことからこの構造が単膜系の酸性の小器官であり、リソソームである蓋然性が高いと判断された。この構造の単離を行い、現在、解析を進めている。