抄録
根粒菌は宿主植物の根に共生しバクテロイドに分化後、エネルギー源として光合成産物を使い大気中N2を固定しNH3を作りだしている。ダイズ根粒において、根粒バクテロイド特異的に誘導されるタンパクを網羅的に明らかとするため、ダイズ根粒菌B.japonicum USDA110の共生、非共生状態でのプロテオーム解析を行った。タンパク同定にはかずさDNA研究所によって決定されたゲノムDNAデータベースを利用した。
タンパクは培養菌体とダイズ根粒から密度勾配遠心で分離したバクテロイドから抽出し、二次元電気泳動を行った。タンパクの同定は、N末端アミノ酸配列解析及びMALDI-TOFMSを用いたペプチドマッピング法を用いて行った。マッチングの結果、多くのタンパク質の発現が両者で異なっていた。バクテロイドで特異的、あるいは発現量が増加しているタンパク質61のスポットを同定した。これらは根粒特異的代謝酵素タンパクやNifHのようなニトロゲナーゼタンパク、ABC transporter群であった。同定されたタンパクには未だ機能のよく分かっていないものも含まれていた。現在はバクテロイドで発現の強かったタンパク及び機能の分かっていないタンパクについて機能解析を行っている。